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猫の輸血用の血液はどうやって確保されている?人間の献血との違い

私たち人間は病気や事故などで輸血が必要になったとき、献血によって集められた血液を医療機関で使用する仕組みがあります。

そのため「輸血が必要になったら、そのとき誰かに血をもらいに行く」というイメージはあまりないかもしれません。

では、猫の場合はどうなのでしょうか。

実は、猫の輸血を取り巻く環境は、人間とはかなり違います。

猫には、人間のような血液供給の仕組みがありません

日本の動物医療には、人間のように全国規模で血液を集め、必要な病院へ安定して供給する公的な仕組みがありません。

日本動物高度医療センター(JARMeC)も、「日本には動物の血液を確保するネットワークがない」と説明しており、安定した血液確保が難しく、飼い主自身がドナーを探さなければならないこともあるとしています。

そのため、動物病院によっては、あらかじめ献血に協力できる犬や猫を登録するドナープログラムを設けています。

実際に、日本獣医生命科学大学付属動物医療センターや、どうぶつの総合病院などでも、猫の献血ドナーを募集しています。

ただし、すべての動物病院に十分なドナーがいるわけではありません。

必要な血液を確保できず、輸血が必要になった時点で、条件の合うドナー猫を探さなければならないケースが現実にあります。

なぜ前もって大量に献血しておけないの?

「それなら健康な猫から前もって献血して、保存しておけばいいのでは?」

と思うかもしれません。

ところが、猫の血液は保存できないわけではありませんが、保存や採血方法には人間とは異なる制約があります。

猫では、採血時に注射器などを使用する「開放式」の採血システムが使われることがあります。この方法で採取した血液は細菌汚染のリスクがあるため、国際猫医学会(ISFM)のガイドラインでは、理想的には4時間以内、冷蔵した場合でも24時間以内の使用が推奨されています。

一方で、専用の閉鎖式システムを使えば、より長期間保存できる血液製剤もあります。実際、猫用の閉鎖式採血システムで35日間の保存を評価した例もあります。

つまり、

「猫の血液は保存できない」のではなく、誰でも簡単に長期間保存して全国へ供給できる仕組みにはなっていない

というのが、より正確です。

こうした事情から、猫では現在も新鮮な全血を使った輸血が重要な選択肢になっています。

必要なときに、必ず血液があるとは限りません

さらに難しいのが、猫なら誰の血液でも使えるわけではないことです。

猫にもA型・B型・AB型などの血液型があり、血液型や適合性を確認する必要があります。

ドナーとなる猫自身の健康状態や感染症などについても確認が必要です。

そのため「輸血が必要だから、近くにいる健康な猫からすぐ血液をもらう」

というわけにはいきません。

日本獣医生命科学大学付属動物医療センターでも、輸血可能な動物の数や採取できる血液量は常に変わるため、実際に輸血できるかどうかはその時点にならないと判断できず、場合によっては輸血できないことがあると案内しています。

だからこそ「必要になる前のつながり」が大切です

輸血が必要になる場面では、治療を急いでいることもあります。

そんなときに初めて、

「献血に協力できる猫はいませんか?」

と探し始める。

実際に、SNSなどでこうした呼びかけを見たことがある方もいるのではないでしょうか。

もちろん、動物病院によっては献血ドナープログラムを整え、事前に血液を確保する取り組みも行われています。

それでも、全国どこでも必要な血液がすぐ手に入る仕組みがあるわけではありません。

だからこそ「もしものときなら、うちの猫も協力を検討できます」

という猫と飼い主さんが、必要になる前からつながっていることには意味があります。

ねこのわが目指していること

ねこのわでは現在、猫の献血ドナー候補の事前登録を受け付けています。

登録したからといって、必ず献血をしなければならないわけではありません。

実際に協力するかどうかは、そのときの猫の体調などを踏まえて飼い主さんが判断し、献血や輸血が可能かどうかは動物病院・獣医師が医学的に判断します。

今すぐ血液を集めるためではなく、

必要になったときに、ゼロから探し始めなくてもいい未来をつくるために。

ねこのわは、そんな「もしものときのつながり」を少しずつ増やしていきたいと考えています。