「猫にも血液型がある」と聞くと、少し意外に感じるかもしれません。
人間にA型・B型・O型・AB型があるように、猫にも血液型があります。
ただし、人間とまったく同じ仕組みではありません。
猫でよく知られているのは、A型・B型・AB型の3つです。輸血を行うときには、この血液型を確認することがとても大切です。
猫ではA型がもっとも多い
猫の血液型の中では、世界的に見るとA型がもっとも多いとされています。
B型はA型より少ないものの、猫種や地域によって割合が大きく異なります。AB型は比較的まれです。
たとえば、ブリティッシュショートヘアやデボンレックスなど、B型の割合が比較的高いと報告されている猫種もあります。
つまり、
「猫はほとんどA型だから、血液型はあまり気にしなくてもいい」
というわけではありません。
輸血を行う前には、その猫自身の血液型をきちんと確認する必要があります。
血液型が合わないと、どうなる?
猫には、自分とは異なる血液型の赤血球に反応する抗体を、生まれつき持っていることがあります。
そのため、適合しない血液を輸血すると、輸血された赤血球が壊されるなどの重い輸血反応が起こる可能性があります。
しかも猫の場合、初めての輸血であっても重い反応が起こる可能性もあります。
だからこそ、猫の輸血では血液型の確認が重要なのです。
血液型が同じなら、そのまま輸血できる?
ここでもうひとつ大切なのが、
「血液型が同じ=必ず安全に輸血できる」わけではない
ということです。
猫では、A・B・AB型以外にも赤血球の違いが存在することが知られており、同じ血液型同士でも血液が適合しないケースがあります。
そこで行われることがあるのが、「クロスマッチ(交差適合試験)」です。
クロスマッチとは?
難しそうな名前ですが、簡単に言えば、
「このドナー猫の血液を、この猫に輸血して問題が起こりにくいか」を事前に確認する検査です。
ドナー側と輸血を受ける側の血液を組み合わせ、赤血球が固まるなどの反応が起きないかを確認します。
血液型検査とは別の検査で、輸血前には血液型の確認に加えて、状況に応じてクロスマッチも行われます。
同じA型同士などでも適合しない場合があるため、輸血の安全性を確認するうえで重要な検査のひとつです。ISFMのガイドラインでも、ドナーと輸血を受ける猫の血液型を確認し、可能であればクロスマッチを行うことが推奨されています。
血液型だけで「献血できる猫」が決まるわけではありません
ここまで読むと、
「うちの猫の血液型が分かれば、ドナーになれるの?」
と思うかもしれません。
しかし、血液型はあくまで確認項目のひとつです。
実際の献血では、猫の健康状態や年齢、体重、感染症のリスク、これまでの病歴など、さまざまな条件を確認します。
そして重要なのは、献血できる条件に全国共通のひとつの基準があるわけではないということです。
動物病院や献血ドナープログラムによって基準や検査内容は異なり、最終的に献血が可能かどうかは、そのときの猫の状態も含めて獣医師・動物病院が判断します。
「〇歳だから大丈夫」「〇kgあるから必ず献血できる」と、飼い主さんだけで判断するものではありません。
血液型を知らなくても、できることはあります
愛猫の血液型を知らない飼い主さんも多いと思います。
それは決して珍しいことではありません。
「ねこのわでは、血液型が分からない猫でもドナー候補として事前登録できます。
大切なのは、今すぐ「献血できる猫」を決めてしまうことではなく、
もしものときに協力を検討できる猫と飼い主さんが、あらかじめつながっていること。
実際に輸血が必要になったときには、動物病院で血液型や健康状態などを確認し、獣医師が献血・輸血の可否を判断します。
血液型を知ることは、猫の輸血を知るための第一歩。
そして、その先にある「もしものときのつながり」を、ねこのわでは少しずつ増やしていきたいと考えています。

