「猫の輸血」と聞くと「大きな事故や特別な病気のときだけ行われるもの」というイメージがあるかもしれません。
もちろん輸血は日常的に行う治療ではありません。
でも実際には事故による出血だけでなく、重度の貧血や病気、手術など、さまざまな理由で輸血が必要になることがあります。
今回は、猫に輸血が必要になる主なケースを紹介します。
重度の貧血になったとき
猫の輸血で大きな理由のひとつとなるのが、重度の貧血です。
赤血球には、全身へ酸素を運ぶ大切な役割があります。
その赤血球が大きく減ってしまうと、体に必要な酸素を十分に届けられなくなり、元気がなくなる、呼吸や心拍が速くなるなど、深刻な状態につながることがあります。
貧血が起こる原因もひとつではありません。
血液を失ってしまう場合もあれば、赤血球をうまく作れなくなったり、体の中で赤血球が壊されてしまったりすることもあります。
輸血が必要かどうかは、単純に検査値だけで決まるわけではなく、貧血の原因や猫の状態を見ながら獣医師が判断します。
事故や手術などで大きく出血したとき
交通事故や大きなケガなどで多くの血液を失った場合にも、輸血が必要になることがあります。
ただし、出血は必ずしも外から見えるとは限りません。
体の中で出血していたり、病気によって出血が止まりにくくなったり、手術に伴って輸血が必要になったりするケースもあります。
つまり、
「大きな傷がある=出血」
「傷が見えない=大丈夫」
とは限らないということです。
血液を作れない・壊してしまう病気でも
出血していなくても、輸血が必要になることがあります。
たとえば、骨髄などの問題で十分な赤血球を作れなくなる「非再生性貧血」や、赤血球が体内で壊されてしまう「溶血」などです。
こうした場合も貧血が重くなり、猫の状態によっては赤血球を補うための輸血が検討されることがあります。
輸血はどの猫の血液でもいいわけではない
ここが猫の輸血の難しいところです。
猫にも A型・B型・AB型 などの血液型があり、適合しない血液を輸血すると重い副反応につながる可能性があります。
血液型だけではなく、必要に応じてクロスマッチなどの検査を行い、輸血できる血液かどうかを確認します。
そして当然、血液を提供するドナー猫自身も健康でなければなりません。
「輸血が必要になったから、近くの健康な猫からすぐ血液をもらえばいい」
というほど単純ではないのです。
必要になってから探すのではなく、その前につながっておく
輸血が必要になる場面では、治療を急いでいることもあります。
一方、動物医療には人間と同じような公的な血液供給体制があるわけではなく、実際に健康な犬や猫による献血ドナープログラムを運営している動物病院もあります。 どうぶつの総合病院 専門医療&救急センター
だからこそ、
「もしものときなら、うちの猫も協力を検討できます」
という猫と飼い主さんが、必要になる前からつながっていることには意味があると、「ねこのわ」は考えています。
「ねこのわ」では現在、猫の献血ドナー候補の事前登録を受け付けています。
登録したからといって、必ず献血をしなければならないわけではありません。実際に献血するかどうかは、そのときの猫の状態などを踏まえて飼い主さんが判断し、献血・輸血が可能かどうかは動物病院が医学的に判断します。
今すぐ誰かに血液を届けるためではなく、
いつか必要になるかもしれない「もしも」のために。
そんなつながりを、少しずつ増やしていけたらと考えています。

